世田谷文学館で2016年7月3日(日)まで開催中の「上橋菜穂子と〈精霊の守り人〉展」に行ってきました!
関連企画の「バルサの食卓 対談(食のことば)」に参加できたので、その感想を綴ります。
対談に出演したのは、平松洋子さん(エッセイスト)と、西村淳さん(「南極」料理人・作家)。後編で書きますが、サプライズゲストも!
世田谷文学館は京王線の芦花公園駅南口から歩いて5分ほどのところにあります。
2階が企画展会場。
1階文学サロンでイベントが行われました。
対談について、私が取ったメモや記憶を頼りに内容を書き出していますので、記憶違いなど多数あると思いますが、ご容赦ください。
とにかく、予想以上に楽しいお話が聴けた対談でした!
『バルサの食卓』に南極料理人が挑む!?
西村淳さんは南極料理人で有名ですが、新潮文庫『バルサの食卓』に上橋菜穂子さんと共に「チーム北海道」の一員として、レシピや料理を担当しています。
対談はまず、『バルサの食卓』の話題で始まりました。
ふつうに、空想の料理のレシピを作ったり実際に調理する苦労話・裏話が聞けると思っていましたが・・・
いきなり、西村さんがひとこと「(現在まで)守り人シリーズ読んでない」。
どゆこと!?
会場の空気が一瞬固まる。
あえて読まれてないんですよね?と平松さんがナイスフォロー。
西村さんも、料理が物語に引っ張られてしまうから、と理由を説明。
そして、チーム北海道が作った『バルサの食卓』の料理を上橋さんも北海道まで来て一緒に食べた時の話に。
西村さんが最初に料理を作ったときは、美味しすぎて、
上橋さんに(シンプルな料理になるよう)もっとそぎ落とすよう言われたそうです。
タンダの山菜鍋のダシに比内鶏(ひないどり)を使ったら、アクが全く出なくて澄んだ上品なダシで、とーっても美味しかった!
けれども、タンダの山菜鍋には合わないといった趣旨で、レシピ変更されました。
食のエッセイを多数出版されていて、自身も料理をされる平松さんも、自分オリジナルな味つけ、自分を出さないように料理を作るのは難しかったという経験を語り、
物語の世界観を壊さないようなレシピ作りには苦労されたのでは?と、話を展開。
西村さんは「そーでもなかったですよー。美味しく作っちゃってねー」と、あっけらかん(笑)
チーム北海道のメンバーがノリノリで楽しく料理を作った様子がなんとなく伝わってきました。
南極料理人、テッパン(ネタ)で会場を料理

極限の環境ながら毎日違うメニューが出たという、西村さんの南極での料理の話になっていったのですが、これが場内大爆笑!
西村さんは南極では週4日しか料理をしていなくて、ドクターが毎週水曜日にカレーを作っていました。
なぜなら、ドクターは隊員の中で一番暇だから(笑)
そして、カレーの作り方を覚えて帰りたかったから(それ南極まで行ってやること?笑)
平松さんが、病気やケガがなくて、ドクターが暇なのが一番良いですよね、とフォローすると、
隊員内の合言葉は「何かあったら、ちゃんとしたドクターに診てもらおう」だったと明かす西村さん。
選抜された南極観測隊のドクターなのに、信頼なさすぎ(笑)
調理担当の西村さんは「南極観測隊では”お母さん”のような役割でしたか?」とよく言われるけれど、
実際は”家政婦は見た”がしっくりくるとか(笑)
食べ物の好き嫌いが一切無い、と言う平松さんでも敬遠してしまうのが昆虫を使った料理という話になり、
それでも、タイで食べたタガメ料理がやみつきになる味だったそうで(・・・)
西村さんも南極で美味しいイモムシ(わざわざ持って行った)をフライにして、北海道でも希少な「ブドウエビ」と称して出したら、外側カリッと中はトロッとして大好評だったとか(大笑)
これ、だいじょうぶですかね?
ここまで、ざっと対談内容を思い出しながら書いてきて、ふと思ったんですが。
守り人シリーズを読んでない方へ、誤解しないでいただきたい。
守り人シリーズは決してゲテモノ料理が出てくる作品ではない!ということ。
レシピ本が新潮社から出版されるぐらい、文章を読んでいて食べてみたくなる美味しそうな料理がたくさん出てくる作品なんです。
アジアのようでどこでもない独特の世界観や文化の細かな描写、それぞれが懸命に自分の生き方を貫こうとする登場人物たちが織りなす壮大なファンタジー物語が、守り人シリーズです。いや、ほんとですってば。
一抹の不安を感じつつ、後編に続く。
ご参考まで。
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